配偶者の選択
配偶者の選択

人は一生の間に2つの家族を経験する。1つは自分が生み育てられた家族(定位家族)であり、もう1つは自分が親となり子を生み育てる家族(生殖家族)である。前者は、自分が生まれたときにすでに成立しており、選択の余地はない。一方、後者は。配偶者の選択から結婚に至るまで選択の余地がある。ここでは、生殖家族の成立に際して配偶者の選択がいかになされるのかについて考えてみよう。

内婚-外婚原理

さまざまな人の中から、私たちはどのようにして配偶者を選んでいるのだろうか。人生のパートナーとなる配偶者を、たいていの人は自由に選んでいるように思う。しかし、実は個人の自由な意志のもとだけではなく、社会的、制度的制約の下で、私たちは配偶者を選んでいるということがで『きる。そこで、配偶者として選択してよい者の範囲や条件を社会的な側面と制度的な側面からみてみよう。

社会的な側面は、「内婚-外婚原理」という方向を逆にする2つの原理で表される。内婚(endogamy)は、自分が所属する集団の外から配偶者を選ぶことを禁止するものである。一方、外婚(exogamy)は、自分が所属する集団の中から配偶者を選ぶことを禁じるものである(望月1996)内婚-外婚原理は、一見。両立しないようであるが、同時に作用し配偶者として選んでよい者の範を形成している。

内婚原理は、主に人種、民族、国家、階層、宗教など大きな集団に適用される。たとえば、同じ人種、同じ民族、同じ宗教の者同士が結婚した場合、これは内婚原理に従っているということができる。内婚という現象が存在するのは、同じ社会的背景をもつ者同士の結婚の方が、異なる社会的背景をもつ者同十の結婚より、互いの理解が得られやすく。新しい生活に適応することも容易であるという経験的事実があるからである(古谷1991)。

外婚原理は、内婚原理が作用する集団の内部に存在する、家族などのより小さな集団に作用する(森岡・望月1997)。外婚原理を最もよく表しているのはインセスト・タブー(近親相姦禁忌)である。すなわち、近親者間の性関係を禁ずるインセスト・タブーは、個人が所属する集団(家族)の中かし配偶者を選ぶことを禁止する規則である。

したがって、社会的な側面からみた配偶者として選択してよい者(結婚適格者)は、内婚原理と外婚原理によって形成された範囲になる。

制度的な側面は、特に年齢に関わるものである。日本では。結婚の最低年齢は男性18歳・女性16歳と定められている(民法第731条)。したがつて、法的に結婚可能な年齢に達していることが、配偶者として選択してよい者の条件になる。