少子化現象の世界的視野

戦略史概論 | 記事URL


日本の合計特殊出生率(以下、出生率)は、1974年に人口置換水準を下回ってから低下を始めました。「人口置換水準以下への出生率の低下、それに基づく子どもの数の減少」を少子化と定義すると、日本は、少子化社会としてすでに1970年代からの経験があるわけです。


出生数は、第二次ベビーブームの年間200万人から、いま数十万人台に減っています。出生率が変わらなければ、本当は第三次ベビーブームが来るはずだった時期にも、実際は「幻」となってしまいました。団塊ジュニア世代以降、20代の人口が急速に減ってきますから、これからは出生数の減少がより明瞭に感じられるようになるでしょう。


重要なことは、この少子化現象は、日本ばかりではなく、先進国全体に共通する現象だということです。さらにいえば、先進国のみならずアジアNIEs(新興工業国)諸国、中国やタイも、出生率2.1以下という状態になっていることから、ある意味では少子化現象に見舞われているといえるのではないでしょうか。経済水準の点で、日本と近い先進国並びにアジアNIEsを比較してみると、少子化現象は先進国全体で、70年代から続いています。アジアNIEsはもう少し歴史が浅いが、今後、先進国と同様の状態が続くことになるでしょう。しかし、同じ少子化といっても、出生率はばらついており、80年代以降、ある程度の出生率を維持した国、あるいは出生率が反騰した国と、さらに下がり続けた国あるいは低迷を続けている国、大別すると二つのグループに分けられます。


出生率1.3以下の国は英語でLowest Low-Fertilityと定義づけられています。いわば、「超低出生率国」あるいは「超少子化国」と呼ぶことができます。そうしたグループには、日本、南ヨーロッパ諸国、アジアNIEs、体制転換後の東ヨーロッパ諸国が含まれます。


もう一つは、出生率が1.6以上2.1以下と比較的高いグループで、米国を筆頭とする英語圏国、フランス語圏諸国、北欧諸国などです。このグループを「緩少子化国」、緩やかな少子化国と仮に名づけます。


その中間にドイツ、オーストリアなどのドイツ語圏諸国がありますが、出生率が1.4程度で、しかも非常に長い間低迷しています。これは超少子化国に近い状況ではないかと考えられます。



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