米国の社会学者ウオーラー(W.Waller)は、思春期から青年期における男女交際を、「デイト(または、デイティング)」(dating)と、「コートシツプ」(courtship)の2つに大別している。デイトは、交際自体を楽しみ、交際相手も限定されず、関係の解消も自由である。これに対して、コートシップは、結婚を目的として交際し、交際相手は1人に限られ、親密で責任を伴う関係となり、関係の解消も簡単にはできない(Waller 1970)(湯沢1995)(森岡・望月1997)(望月1996)。
デイトとコートシップを特徴づける違いは、デイトは必ずしも結婚に結びつかないが、コートシツプは結婚に結びついた交際ということだ。このような違いはあるが、両者は配偶者選択の過程において密接に関わる。すなわち、デイトの段階においては、デイトの回数を重ねることで、さまざまな異性を知り、異性を通して、自分自身の特性や能力に対する理解を深める。その上で、次第に特定の1人に絞り込んでコートシップの段階に入り、結婚ヘと進んでいくのである。
デイトのもつ機能には、 レクリエーションの機能、仲間から一人前とみなされる機能、性別役割の学習機能、配偶者選択の機能の4つがある(湯沢1995)(森岡・望月1997)。特に、性別役割の学習機能についてみると、男女間の役割には、生殖のために必要な役割と、家事や育児など、集団としての家族の維持と存続のために必要な役割とがある。前者は、男女間で交替不可能な役割であるが、後者は、男女間で交替可能な役割である。デイトの過程で学習する性別役割は、男女間で交替可能な役割であるが、 これを交替不可能な役割として固定的に捉えることのないようにしなければならない(湯沢1995)(森岡・望月1997)(望月1996)。
私的了解と婚約
デイトとコートシップに深く結びついているものに、私的了解(private understttding)と婚約(engagement)がある。私的了解と婚約は、交際過程がデイトからコートシップヘと移行する分岐点に位置する。私的了解とは、交際している2人が相互に結婚相手として認めあうことである。といつても、この場合、2人の間だけの暗黙の了解であることが多く、結婚相手として認めあっていることを公に発表したものではない。一方、婚約とは、交際している2人が結婚する約束を社会的に公表することである。婚約すると交際している2人の関係は、私的で個人的な関係から社会的な関係へと変わる(森岡・望月1997)。ゆえに、正式に婚約が成立した後で、一方が正当な理由なしに婚約を破棄した場合、相手方に対し損害賠償など法制度上の責任を負うことになる。

デイト、コートシップ、私的了解、婚約の4つの関係をみたものが図である。私的了解は、デイトがコートシップヘと変わるきっかけとなる。つまり、さまざまな人との自由な交際をするデイトの段階から、特定の1人に交際相手を限るコートシップの段階への移行の契機に私的了解は位置する。
私的了解に達した後、 まもなく婚約を迎える。婚約が成立して結婚するまでの交際期間が本格的なコートシップの期間である(望月1996)。したがって、デイト期間における交際が私的で個人的なものであるのに対し、コートシップ期間における交際は公的で社会的なものであるということができる。
